答えだけを知っても意味がない。その過程が大切。
【風の万里 黎明の空】で登場した供王・珠晶が、王として選ばれるまでの道のりを描いたお話です。
供王は言ってることは正しいけど、なんとなく鼻持ちならないガキというイメージでしたが、今回も同じ調子です。
しかし、このお話では、どこか憎めない、良い具合になっています。
「風の万里〜」の前に読んでいたら、珠晶の印象は変わったかもしれません。
豪商の娘として何不自由なく育った珠晶。
王をなくし、荒廃した恭国の行く末を憂い、自ら王となるため蓬山します。
この世界では、国に王がいなくなると、妖魔が現れ、災厄が続き、荒れるという事になっています。王がいれば災厄も収まる傾向にあるらしく。
「まわりの大人たちがだらしないから、私が王になる」だなんて素敵な事を言っています。
しかし、珠晶は本当に王になって国を治めたいと思っているわけではありません。
後に、「本当に王になるべく器を持ったモノは自分にそれが備わっているなどと思い上ったりしない」などと言います。
冒頭に書いたように、あいかわらず生意気な子供、と思いつつ読み進めましたが、なかなか(いや、ずいぶん)立派な子供だなぁ、と思うようになりました。
時折危険なことがあったら、割と真剣に心配してしまうくらいお話に引き込まれていました。
例によって他のお話の登場人物がちらほらと顔を出すのも面白いです。今回も意外な人物が出てきました。
ファンタジーものがお好きな方、十二国記シリーズがお好きな方、小野不由美さんのファンの方におすすめです。