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□ 著書名        【風の万里 黎明の空(上下)】
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□ ジャンル      ファンタジー
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□ 著者           小野不由美
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□ 出版社        講談社 価格 650円
                      ISBN4-06-255175-6  1994.8.5 350ページ(上)
                      ISBN4-06-255178-0  1994.9.5 370ページ(下)
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現状を変えようと動き出さねば、何も変わるはずない。

『十二国記』シリーズ第4作。
陽子、祥瓊、鈴のを主人公として並列して物語が進んでいきます。

時間的には、【月の影 影の海】で陽子が景王に即位してしばらくのち。
陽子は王となっても、こちらの世界の様子がよくわからず、臣下の言いなりになってしまいます。
自分の力が足りないことに悩み、王宮から街に出て生活して、国や民のことを知ろうとします。
一方、祥瓊は、奉王である父が非道を行う事も知らずに何不自由ない暮らしをしてきます。
しかし、クーデターが起こり、眼前で父母を殺され、公主の座を追われてしまい、一市民として苦しい生活をしています。
また、鈴は蓬莱から才国に流されてきた海客です。
海客では言葉がわからず仙女の下女となりますが、そこで仙人にいじめに遭っています。
祥瓊と鈴の二人はそれぞれの理由で、景王に会うべく慶国を目指してきます。

この二人に共通するのは「私は何一つ悪いことなどしていない」という思い。
それぞれに不幸な境遇ではあるのですが、あまりに自らを「悲運の女性」と思いすぎるところ。
さらにはちょっとねじ曲がった気持ちで陽子を目指すのですが、その旅路の中で、己を振り返る出来事が沢山起きます。
結果的には非常に自己中心的だった祥瓊と鈴の二人が改心(?)し、陽子に協力する関係になります。

前作までのキャラクタもちらほらと登場し、楽しく読み進めることができます。
三人三様の心境をうまく書き分けてあり、なかなか読み応えがありました。
 

ファンタジーものがお好きな方、十二国記シリーズがお好きな方、小野不由美さんのファンの方におすすめです。
 

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Copyright(C) Nobuhiko Takano 2004