自身への行為が自身への処遇を決める
泰国麒麟、泰麒はわずか半年で王を失い、自分も深く傷つけられて、蓬来(日本)へ流されてしまいます。
(帰ってくるまでのくだりは【魔性の子】を読むと、もっと楽しめます)
泰王、麒麟ともに不在で、国が非常に混乱した状態となり、奉の将軍、李斎は景王に助けを求めます。
賛否両論ありましょうが、この巻のヒロインは間違いなく李斎だと感じます。(…というか、単に僕の好みだと思いますが)
忠義という言葉だけでは表現できぬほど良い人物です。
彼女が最後で「天帝とは何だ?」と言うのが非常に鮮烈でした。
「天帝が本当にいるのならば何故この状況を見過ごしになるのだ?」
「仁道を以って国を治めろとあるのに、天帝の仁は無いのか?」
この問いかけの答えも垣間見る事ができますが、これらの理屈がこの十二国記の世界で大切なエッセンスになるような気がします。
ここまで読んだ十二国記のいろいろなキャラクターが一気にでてきてまさに圧巻の一言です。
ところでこの巻で始めて出てきた氾王。またすごいのが出てきたな、などと失礼なことを思いつつ、面白そうなのでまたの登場を願ってみたり。
ファンタジーものがお好きな方、十二国記シリーズがお好きな方、小野不由美さんのファンの方におすすめです。