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□ 著書名    【すみれの花の砂糖づけ】
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□ ジャンル   詩集
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□ 著者      江國香織
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□ 出版社     理論社  1999.11発行  133ページ
             ISBN4-652-07182-5  1575円(税込)
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どっちみち 百年たてば 誰もいない

江國さんの詩集です。
「詩」というものをあまり読まない僕ですが、この本は良かったです。(著者に傾倒するあまり、という説もありますが…)
シンプルで、とても洗練された詩が多かったです。
江國さんの小説を好きな人は気に入ってくれる事と思います。

現在に近い世代の視点と、少女時代の思い出(回想?)の視点のものが混じっています。
他の作品でもちらほらと見受けられる現在の姿であろう江國さんと、小さい頃の彼女の姿が見えるような気がして面白いです。
僕の心理状況がそう読ませているのかどうかはわかりませんが、彼女の詩に用いられる言葉は正しくて、でも寂しいものが多いです。
それなのに、時折読み返してしまいます。

タイトルになっている詩で「すみれの花の砂糖づけをたべると 私はたちまち少女にもどる だれのものでもなかったあたし」というのがありました。
大人になっても、消えない「自分」としての存在。だれのものでもなかった自分。
そんな事を考えていると、なんだか怖いような、寂しいような、でも、大切なものが、見えるような気がします。

クリーム色の装丁もけっこう良い感じです。文庫にもなっていますが、断然こっちの方が好みです。
ところで、【雨はコーラが飲めない】で取り上げられていた、このすみれの花の砂糖づけの中である詩の、クミコのCDというのは、このCDのようです。
さっそく聞いてみました。
 

詩が好きな方、江國香織さんのファンの方、におすすめです。
 

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Copyright(C) Nobuhiko Takano 2004