宮部みゆきさんの長編小説です。
念力放火能力(パイロキネシス)という「超能力」を持って生まれた、青木淳子という女性が主人公です。
2段組のページ装丁の本で、2冊という長いお話です。
京極夏彦さんの本のように分厚くても1冊に装丁して欲しかった気もしますが…。
「超能力」というものへの現実の存在のあるなしはとりあえず忘れて、念力放火能力(パイロキネシス)という能力が出てきます。
この念力放火能力(パイロキネシス)というのは、思い描くだけで火を操ることができる、という超能力の事だそうです。
火力はすさまじく、人間を焼き殺すことなど造作もないほどの熱量のようです。
個人的には超能力だとかオカルトだとか、そういうジャンルのものは信じないのですが、このお話に関してはすごく楽しめました。
適度なナゾとサスペンスが散りばめられていて、楽しく読み進めていくことができます。
淳子は自分の事を「装填された銃」として、法によって裁かれない悪を滅ぼすべく、日々を生きていきます。
そんな中、「ガーディアン」なる怪しげな団体が登場し…。
何が「悪」で、何が「正義」なのかについて考えさせられます。
このお話は【鳩笛草】の続編になるものです。
【RPG】にも出てくる警視庁の刑事・石津ちか子や、パイロキネシスの実在を唱える牧原刑事などなど、脇役の描き方も秀逸です。
このお話、映像化されています。キャストなどはこちら。
淳子役の矢田亜希子も良かったのですが、石津ちか子役の桃井かおりが良い味を出しておりました。
CGがちょっとしょぼかったり、いろんな意味でちょっと一昔前の気配が漂っておりました…。
しかしながら、原作を詳しく知らなくとも楽しめる映画でありました。
勧善懲悪ものに飽きてきている方、超能力に興味がある方、宮部みゆきさんのファンの方におすすめです。