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□ 著書名        【赤い長靴】
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□ ジャンル       連作短編集
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□ 著者           江國香織
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□ 出版社         文藝春秋   価格 1470円
                       ISBN4-16-323610-4   2005.01 260ページ
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二人なのに一人ぼっち

微妙な関係で進む夫婦のお話。
ちょっと変わってるダンナさんに、同じくらい変わった奥さん。なんだ、似たもの夫婦じゃないか、なんて失礼なことを思いながら読みました。
子供もおらず、二人で暮らすこの夫婦。現実の僕らの将来が見えるような気がして、ちょっと薄ら寒く感じたりしました。
ところどころ自分にも思い当たる所があって、余計に考えさせられました。

不倫という要素がないお話だというのはなんだか不安になってしまいました。(すでに僕も普通に不謹慎な発想をするようになったようです)
あるところでもあった「他人同士が夫婦として暮らしていて、それぞれが別々の場所で別々の時間を過ごしていても、 夫婦の家に帰ってくるということの、頼りなさと安心感というかんじ」という言葉。
もしかしたら、江國さん自身もこのような事を考えているのかもしれません。

ちなみにこのお話にでてくる旦那さん、僕としてはあんまり好きなタイプじゃありませんが、行動は似ているかもしれません。
台所などに来るとテレビをつけ、奥さんが話をしているにも関わらず、特定の見たい番組があるわけでもないのにリモコンを操作してたりして奥さんの怒りを買うわけですが、ふと気づいたら僕もたまにやっているような…。いずれにしても、ほどほどにしておこうと思ったのでした。
(あ、でもごくまれに面白い番組にヒットするのでやめられません)
あと、ちょっと思い当たるフシがあったりして、ちょっと困ってみたりしたのでした。

このお話の夫婦は幸福かどうか、というお話なのですが、これはもうその人たち次第なのではないか、と思うのでした。
夫婦なのに言葉が通じない、とお話の中で奥さんが悩んでいたりしますが、これって案外普通なのではないか、と思う今日この頃です。
かくいう僕も結婚して5年以上が経過しますが、それでも通じない言葉や理解しがたいことはよくよくあります。(向こうもそうだとは思いますが)
しかし、お話にでてくる夫婦を見ていたら、対話という力量が足りない気がしました。
通じないなら通じないでも、対話を重ねることが大事なのではないか、と思う次第です。

このお話を読んでいて、【スイートリトルライズ】ふと思い浮かべました。
ちょっと読み返してみようかな、と思っています。

結婚をしている人、結婚をしてない人、江國香織さんがお好きな方、におすすめです。
 

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Copyright(C) Nobuhiko Takano 2005