想いは、言葉にしないと通じない。
少々物騒なお話です。
物語にものすごくスピード感があり、ドキドキしながら先に進む事ができます。
どこを触れてもネタバレになりかねないので、ちょっと違う角度からのお話を。
この物騒な昨今、「殺す」という単語は良く聞きますが、果たしてこれを口にする人のどれくらいが本気で考えているのでしょう。
いや、全員が全員考えて、ホントに実行なんかしちゃっていたら、人類のほとんどがいなくなっちゃうでしょうけど。
かくいう僕も、今まで歩んできた人生でそういう事を思った事がありますが、あくまで思いつくまでのレベルであって、時間が経てば適度な思い出になってしまっています。
このお話に出てくる、織口や慶子ほど強い思いを持った事はありません。
つくづく自分の思いというものがこの程度でふみ止まるレべルであったという事に幸せすら感じてしまいました。
時代劇のように悪い奴が成敗されないこの世の中。
僕は悪い事をする人というのは更正するという事はないと思うようになってきました。
悪人というのは、よほどの事がない限り、善人に替わるという事はないように思えます。
例外もあるでしょうけど、最近はとくにそう思うようになってきました。
この物語にでてくる悪者も、結局最後までココロを入れ替える事ができなかったようです。
しかしながら、必ずしも善人で生きる事のみが良い事ではないという事も、大人になるにつれて学んでしまいました。
善と悪。光と影。もともと表裏一体のものであるだけに、どちらが、という事はないのかもしれません。
ちなみにこの本を読んでいた時、僕は出張で東京に行っておりまして、大手町のあるビルに通っていました。
取っていた宿が水道橋だったのですが、寝る前にちょろっと読んでいたら、お話の中で丁度自分が歩いていた地名が出てきたりして、ちょっとびっくりしました。
あと、僕も東京方面にクルマで遊びに行くこともあり、物語内に出てきた行程も自分にとってなじみ深いところでした。
この「スナーク」とは怪物だとかそういったニュアンスの言葉だそうで。
そういえば、エンデも同じ題の本を出していますが、まったく違うお話です。
怪物が周囲にいる方、殺したい程の相手がいる方、宮部みゆきのファンの方、におすすめです。