「同じ姓を持つ人間がこれだけいるのが不快なのだ!」
未来の日本で、名字が「佐藤」の馬鹿な王様が、同じ佐藤性の国民を減らそうと思いつき、鬼ごっこして捕まえ、処刑を行っていくお話です。
正直なところ、全体的にイマイチ感が拭えません。これは僕の完全なる主観です。お好きな方ごめんなさい。
同人誌ならばこの完成度でも十分かもしれませんが、商業小説として売っていくのなら、もうひとひねり頂きたい所であります。
この本、かつて新聞の本紹介で単行本の時のアオリ文句か何かで見て以来、いつか読もうと思っていたのです。
それをすっかり忘れていたところ、文庫になっているのに気づき、手に入れたみたのですが、読み終わった今、残念ながらいつbookoffに持って行こうかと思う本でありました。
恐怖感がどーとかって紹介されていたはずなんですが、読んでいた限り、恐怖感はちっとも感じません。
題名に反して、リアルさがありません。(題名は違う意味で「リアル」を表現しているのですが)
あと、ラストが想像通り過ぎるような気がいたします。
もうちょっとなんとかならんのか、と本編を読み終わって、素敵にいろいろ書いてあるあとがきを読みながらぼんやり考えていました。
再読はしないかもしれません。
自分の場合は性格が曲がっているのか、話の展開にいちいちツッコミを入れたくなりました。
たとえば主人公と同じ名字で追われる立場の友人が登場してきた時。
異常に主人公に優しくしてくれたりするのですが、「コイツ悪い奴に違いない。ぼちぼち主人公を裏切るに違いない」などとワクワクしながら(?)読んでいました。
しかしながら、異常に良い奴のまま終了。肩すかしをくらった気持ちでした。
追われる立場の人間に白色のジャージを与えるというのは、目立ちやすい格好にさせて、いつかは自分の身代わりにするつもり、かと思ったのですが。
深読みしすぎでしょうか。
話はイマイチというものの、設定その他は面白かったりするので、作者に同じ舞台で違う話を書いてもらってはどうかと思ったりします。
ありふれた名字をお持ちの方、ライトノベルがお好きな方、山田悠介さんのファンの方におすすめです。