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□ 著書名         【弟切草】
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□ ジャンル        ホラーサスペンス
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□ 著者             長坂秀佳
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□ 出版社      角川ホラー文庫 1999.4.10発行
           ISBN4-04-347501-2 640円(税別)  352P
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弟切草…その花言葉は「復讐」。
ゲームデザイナーの公平は、恋人奈美とのドライブ中にで山中で事故に遭う。
二人がやっとたどり着いたのは、弟切草が咲き乱れる洋館だった。
「まるで俺が作ったゲームそのものだ!」愕然とする公平。
しかし、それは惨劇の幕開けだった・・・・。

…と、まぁ同タイトルのゲームの小説版です。
しかし内容は話をなぞるっていうだけではなく、一部ゲームの設定などを借りて創作されているオリジナルのものです。
ちなみに、ゲーム未経験の方でも楽しめるように作ってあります。

内容は、冒頭のように主人公の公平とその恋人の奈美が、かつて公平が作ったゲーム「弟切草」の舞台と酷似した古びた洋館で、恐怖体験が繰り広げられるというものです。
動くヨロイやら、ミイラが乗った車椅子など、おどろおどろしい存在はちゃんとありますが、この作品で怖いのはそういったホラーよりも、登場人物の関係などが怖いポイントです。
怖いのは魑魅魍魎より「人間」といった所でしょうか。
あんまし書いてしまうとネタバレになるのでこのあたりで。

ところで、ホラー文庫だというのに僕はあまり怖く感じませんでした。
読み手にとって楽しく写るようにかいてあるというか、微妙な所です。
先が読めてきたあたりでひっくりかえしをかけてくるあたり、なかなか面白い筋書きです。
書き方も「公平」と「奈美」の二人の主観を交互に絡めての「ザッピング風」でけっこう読みやすく、面白いです。

作者の長坂氏の本職は脚本家らしく、小説からドラマの脚本までこなす、なんともマルチな方です。
どおりでこの「弟切草」それっぽく仕上がってい訳ですね。
この作品としては、ホラーならホラー、ミステリならミステリに徹底した方が作品として面白かったんじゃないだろうか、などとナマイキにも思ってしまいました。
素直に読みすすめていけて良いと言えばそうなのですが、話の節々に気になるところがちょっとありました。
勢いが良いので「?」と思う前に読み進んでいってしまいます。
内容の割に対象年齢が低めになってしまうのが、ちょっと残念なような気がしました。
ちょっとばかり評価は厳しくなってしまうかもしれませんが、こういったのも悪くないかな、などと思ってみたり。

同タイトルのゲームをやったことがある方、同じく映画を見られた方、怖い話が好きな方にはおすすめです。
 

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Copyright(C) Nobuhiko Takano 2001