おとなの仮面をかぶっていても、みんな、おひさまの下では子供に戻ってしまうのかもしれない。
読み出したらすぐに解りますが、集英社コバルト文庫の復刻版です。
幼なじみの野々子と周太郎。
にくまれ口もたたくけど、互いになくてはならない存在。
高校野球からプロ入りした周太郎を追って野々子は上京するが、ふたりの仲はプラトニックなまま。
そこに割って入ったのが不良高校生の実衣子。
ところが、その実衣子と野々子の間に女同士の友情が生まれて。
恋と友情のトライアングルの行方は?……といった感じのお話です。
高校球児の周太郎と幼なじみの彼女、野々子。夏の甲子園で周太郎をテレビで見て惚れてしまったという美衣子。
この三人の三角関係が面白く描かれています。
野球と恋愛ということで、あだち充さんの漫画を思い出してみたり。
正直、読み進めるのがちょっと恥ずかしい青春小説です。
少女漫画的というか、ターゲット層が別なのでこういったスタンスなのですが「恋愛と友情、どちらが大切」と言った具合で。
しかしこのテーマは姿形を変えて、ずっとつきまとうお話ではあります。
ちなみに山本さんの処女作「プレミアム・ブルーの日々」も一緒になっています。
また、「歩留まり作家への道」という巻末エッセイで処女作を執筆したときの様子や、一般文芸小説へ移行した著者の心境なども読めます。
こちらはこちらで興味深く読むことができました。
コバルト文庫の路線がお好きな方、少女漫画が好きな方、山本文緒さんのファンの方におすすめです。