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□ 著書名         【泣く大人】
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□ ジャンル        小説
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□ 著者             江國香織
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□ 出版社      世界文化社   2001.07.18発行   237ページ
            ISBN4-418-01511-6   1200円(税別)
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私は泣く大人になりました。

江國さんの短編エッセイです。
「泣かない子供」というエッセイを過去に出しておられるのですが、それ以来のエッセイ本になります。
いろんな雑誌に載っていたものの集約らしいです。

日常生活、思い出の出来事、旅、本、男友達、愛犬にまつわるお話が納められていて、江國さんの素顔が見え隠れする一冊です。
あるところで、「作品よりもミステリアスな彼女に迫る」と書いてあったりしましたが、たしかにそうかもしれません。
作家さんというのは大抵ミステリアスなものだと思っていましたが…。

読みどころと言うわけではありませんが、江國さん的の「格好いいこと」「そうでないこと」と「気を抜いていいこと」「そうでないこと」と「好きなもの」「嫌いなもの」が興味深かったです。
この人はこんなのが好きで、こんなのが嫌いなんだぁ、というのが解ったからどうと言うわけではありませんが、彼女の作品などを考えるとふといろいろ考えてしまいます。
好きな人がどういったものに興味を引かれるのか、などを聞くのは面白いと思います。

あと、極めて個人的な事ではありますが、江國さんとダンナさんの生活、なかなか波瀾万丈のようです。
「家を飛び出して夜中の本屋さんに逃げ込んでみたり」ってのはちょっとどーかと思いましたが…。
まぁ、ある意味では我が家も人のことは言えないのですが。

現実というものは小説よりも大変なのはたしかですね。
ページをめくっていったら終着に着くわけでもありませんし、しかも必ずしも良いエンディングが待っているとは限りません。
いや、だからこそ面白い、のかもしれませんが。
 

泣かない大人の方、エッセイがお好きな方、江國さんのファンの方におすすめです。
 

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