仏はんはどうだか知らんけど、神はんは居てはりまっせ。
さるお方からオススメと教えて頂き、さっそく書店に走ってきました。
もう、文句なしで面白い本でした。
困った学生3人組が巻き起こす騒動を描いたお話です。
どのあたりが「後始末」かというと、三人組の指導者である神父のモッキンポット師が三人組の尻ぬぐいをさせられる、というあたりです。
カトリック信者の学生の世話をするフランス人神父、モッキンポット師。非常にユニークな人です。
「フランス人の神父」だなんて言うと、イメージではなんだかオシャレな人を想像してしまいますが、残念ながら、その対極に位置する人物です。
小汚い格好で、流暢な関西弁を操ります。(本人曰く、最初の先生の選び方に失敗した、とか)
これがまた良い人で、おだてにのりやすく、学生達に良いように言いくるめられてしまい、あれこれと弁償をさせられる羽目になります。
学生達がどんなにとんでもないことをしでかしても、怒りながらも必ず彼らを助けます。
読んでいて、いい加減、愛想を尽かしそうなものだけど、と思うところがあるのですが、結局みんなの面倒を見てしまいます。
その三人組(小松、日野、土田)とて、根っからの悪人ではなく、食べていくために様々なバイトに手を出し、問題を起こします。
(大抵はあんまし笑えない悪さをしでかしますが、おおむねは罪深くないものと言えるかも…。)
毎回いろいろと悪だくみをし、一時は成功してお金儲けにつながるのですが、いつもツメが甘く、最後は失敗してしまいます。
まぁ、若いときの悪さというか、人生における脱線は許されると言いますが、ちとやりすぎの感がございます。
ずっと良い子で今に至る僕としては(…誰ですか、「違う」なんて言ってるのは!)少々うらやましい気もいたしました。
描かれている時代背景からは、戦後しばらくといった具合なのですが、特に悲壮感もなく、三人組の悪さ具合に思わず笑ってしまいます。
この怒られても怒られても懲りない三人組と口汚く叱りつつも心優しい神父さまが印象的でした。
なにやら続編があるようなので、さっそくこちらも読んでみたいところです。
実を言いますと、井上ひさしさんというと、教科書のイメージが強く、そいでもって教育的要素のたかーいお話のイメージがなかなか抜けません。
この本に関してはその思いこみはまったくの杞憂でありました。
ところでこの本の最後に年表がついていまして、恥ずかしながら、彼の実年齢を初めて知りました。
読売新聞でも週一の連載をされていますが、いつまでもお元気で本を書き続けて頂きたいものです。
良い恩師がいる方、いない方、面白い本を読みたい方、井上ひさしさんのファンの方におすすめです。