御行奉為(おんぎょうしたてまつる)
京極夏彦さんの小説です。
短編集なので、ちょこちょこと読めます。(相変わらずの文章量ではりますが)
小股潜りの又市が、江戸の世を舞台に妖怪話を散りばめ、悪党を退治するお話です。
(この又市は「嗤う伊右衛門」にも登場するらしく、そちらも早く読まねば…)
又市の他にも、山猫廻しのおぎん、長耳、治平、戯作者の山岡百介などなど個性的な面々が登場します。
どの人もいわくありで、本筋にちらちらとエピソードが散らされています。
悪者をサクッと成敗する勧善懲悪の時代劇とは異なり、「妖怪のしわざ」として話の仕掛けを作って収める、というところで。
著者自身の言葉を借りれば、このお話は難事件を「妖怪」として払い落とす例のシリーズの「裏返し」だとか。
このお話で出てくる妖怪話は「小豆洗い」、「白蔵主(はくぞうす)」、「舞首」、「芝右衛門狸」、「塩の長司」、「柳女」、「帷子辻(かたびらがつじ)」の7つです。
他のコーナーにも書いたかも知れませんが、僕は魑魅魍魎が出てくるようなお話はちょっと苦手としておりまして。
そりゃ「怖いから」のただ一言に尽きます。はい。
でも、このお話に出てくる妖怪はあまり怖くなかったりしました。不思議なモノです。
しかし、この本のカバー裏にとんでもないモノが印刷されていて、それには震え上がってしまいました。
ちなみにこの作品、アニメーション化されておりまして、まぁいろいろありまして、見ることができました。
アニメをみてこの本を読むと、各登場人物がアニメの声でしゃべり出してくれるという事に(笑)
ちなみに、アニメのほうは本作をアウトラインとした別のお話という感じです。
京極夏彦自身が声優としてでていたりして、おもしろいところもありました。
妖怪モノが好きな方、分厚い本が読みたい方、京極夏彦さんがお好きな方に、おすすめです。