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□ 著書名    【片想い】
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□ ジャンル   ミステリ
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□ 著者     東野 圭吾
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□ 出版社     文芸春秋 2001.3.30発行 379ページ
           ISBN4-16-319880-6 1,800円(税込)
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男と女はメビウスの帯の上にいる

主人公の西脇哲朗は、大学時代にアメリカンフットボール部のクォーターバックだった。 現在はスポーツライター。
同窓会で久しぶりに会った、かつてアメフト部の女性マネージャーだった日浦美月が西脇に秘密を告白するところから始まります。
自分はある殺人事件の犯人であると、さらには、自分は「男」である、と。
この日浦美月は、生物学的には「女性」です。
西脇の知らない13年の間に何があって男の姿になったのか…。

「ええ?」って感じで始まるこのお話。
殺人事件が起こったりもしますが、一番のテーマは性同一性障害です。
昨今ではちょっと世間にでてくるこの病(賛否両論ありましょうが、あえて「病」と表記します)
いわゆる、体は女性(もしくは男性)で心が男性(もしくは女性男性)、という奴です。
性同一性障害に悩む人たちの苦悩と実態についてふれられています。普段気にしていない男女の性差というものがはっきりと理解させられます。
物語の西脇が事件の関係者に会っていく間に、多くの性同一性障害の人々の話を聞きます。
西脇同様、僕もこの件に関しては理解が足りないようです。
知っているつもりで、解っているつもりでちっともわかってないものです。
あくまで他人事だというのもありますが、それにしては考える力が我ながら薄い、と思いました。
果たして、何が「男らしさ」で何が「女らしさ」なのかと考えました。
最後のあたりに「男の世界」についての考察があります。
ここに答えがあるような気がしました。

文章量は多めですが、とても分かり易く、さくさく読み進めることができます。
適度に解説も入っていて、読み進めるに当たってとても親切です。
本格派ミステリーという重みはありませんが、訴えたいテーマから考えると、ちょうど良い具合だったと思います。
このお話は、「SMAPの「夜空ノムコウ」に触発されて書いた」とインタビューで答えておられるのをネットで読みました。

ところで、戸籍について触れられているのですが、これって本当にこのようになっているものなのでしょうか。
犯罪に利用されかねない物のような気が…。
いや、僕が無知なだけで、すでに皆さんご存じのことなのでしょうか。
 

女性が好きな男性の方、男性が好きな女性の方、東野圭吾さんのファンの方、におすすめです。
 
 

参考サイト : 東野圭吾公式HP
 
 

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