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□ 著書名        【華胥の幽夢】
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□ ジャンル        ファンタジー
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□ 著者            小野不由美
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□ 出版社        講談社 価格 650円
                       ISBN4-06-255573-5  2001.9.5 366ページ
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人は変わることができるんです、幸いなことに

十二国記番外編の短編集です。
小野さんの短編は初めて読みましたが、すごく読みごたえがありました。

泰麒が自分について思い悩む「冬栄」。
まだまだ幼い泰麒。それなりにあれこれ悩む姿は泰麒への印象が深まりました。

峯王を討った後の月渓が登場する「乗月」。
峯王亡き後、どうしても玉座に自身が座ることを固辞する月渓の思いが語られています。

景王・陽子と楽俊が手紙(…ではありませんが)のやりとりする「書簡」。
ここらはアニメのほうでもちらっと出てきてました。

本短編集の題目となっている「華胥」。
一王朝が滅んでゆく様子を描いています。理想の国の姿を夢に見せるという「宝重の枝」がでてきます。
王はどうあるべきか、国はどうしていくべきかいう事を考えさせてくれます。

奏王の家族、利広が家族の元へと帰る「帰山」。
「風漢」として、とある人物も登場してきます。さりげなくあちこちの国について語られていて、なかなか面白かったです。

この十二国記シリーズ。
「王とは何か、国とは何か」という主題についていろいろな角度で語られていますが、未だに明確な答えは出ていない気がいたします。
今後もこのテーマについて語られていくのでしょうけれども、明確な答えは見えない事でしょう。
このテーマは現実世界の人間でも解決のできていない永遠のテーマ、かもしれません。
 

ファンタジーものがお好きな方、十二国記シリーズがお好きな方、小野不由美さんのファンの方におすすめです。
 

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