プラスチックのカードでできた砂上の楼閣。
宮部さんの現代小説です。
カードによる自己破産と、バブル崩壊後の経済の話題を使った推理小説です。
消費者信用の多重債務が生み出す悲劇が題材ですが、今でも、どこかで似たような話はあるでしょうね。
あちこちに張られた伏線が正確につなぎ合わされていて、そのストーリーの現実性、正確さにどきどきします。
休職中の刑事、本間俊介は遠縁の男性に頼まれて彼の婚約者、関根彰子の行方を捜すことになった。
自らの意思で失踪、しかも徹底的に足取りを消して―
なぜ彰子はそこまでして自分の存在を消さねばならなかったのか?
いったい彼女は何者なのか?
謎を解く鍵は、カード会社の犠牲ともいうべき自己破産者の凄惨な人生に隠されていた。
…という具合で、関根彰子という人物がどうして姿を消したのかというところから主人公・本間と共に追いかけていきます。
何を書いてもネタバレになりますので、詳細の解説は避けます。
現在の日本を支える消費文化ですが、金融の正しい使い方の周知が伴わない背景があるとかないとか。
これは今も昔も同じですね。
作中で「銀行のATMで、銀行のキャッシュカードと間違えてクレジットカードを入れてしまい…」というのがありましたが、そういえば僕も一度間違ってクレジットカードを入れてしまった事があります。
さすがにお金を借りるまではいきませんでしたが。
「解っているつもりの人でも危ない」と言いますし、気を付けよう、と思いました。
いつも家計が火の車の方、クレジットをよく利用される方、宮部みゆきさんのファンの方、におすすめです。