結局、特別ではない人間なんていないんだ。
和服の上にジャンパーを羽織って、というスタイルの両儀式という女性が大活躍するお話です。
魔術、ヲタク的要素、多めの文章量。
これらのどれかがダメな人にはオススメしません。(とはいえ、それらのどれかが大丈夫だからと言っても、読む人を選ぶような気もいたしますが)
この両儀式。両儀というのが名字で、式が名前です。
いわゆる二重人格(本当はもっと複雑なモノなのですが)で、男言葉で話します。
冒頭にちらっと書いたとおり、着流しに赤色に染め上げた革のジャンパーを着るという出で立ちです。
この式の服装について、着物を愛好している友達に聞いてみたところ、「(それでは)腕がもこもこになるよ」と。
確かに袖口とかどうなっているのか、という感じはしますね。
まぁ、そういうファッションの主人公というのも、良くも悪くも購読層を選ぶような気がいたします。
二段組みの構成のおよそ800ページと、文字量が多めでありますが、割とすいすいと読みすすめる事ができました。
著者のクセなのかどうかのか解りませんが、えらく説明的な文章の多いお話でありました。
これまた著者の味なのか、微妙な日本語表現も気になりました。
これらは気がつくまでは全然平気だったのですが、一度気になったらちょっと、という具合です。
それでも、物語を追っていくうちに、気にならなくなってきました。
話の内容は時折足踏みするものの、おおむねテンポ良く進みます。
本編よりも、妙に難解なあとがきに苦戦してしまいました。
読んでいる途中にネットで知ったのですが、この本、いわゆる同人本からスタートしたものだとか。
偏見かもしれませんが、同人モノというジャンルは完成度も高いモノがあるでしょうが、そうでないものも多いことと思います。まさに玉石混合ではないかと。
その中から良いモノを見つけるというのは実に大変な作業ではないかと思います。
更に、同人界でブレイクしたからと言って、その製品が世間的に良いモノかどうか、という事もあるかと思います。
著者が手がけたというゲームがあると聞きました。
そういわれてみたら、名前だけは聞いたことがありました。
機会があったら手を出してみたいものです。
ところでこのお話の題名は「空の境界」なわけですが、どこをどう間違えたか、「空の軌跡」と覚えていました。
書店で手にとって、違うと気付いた訳ですが。
これは日本ファルコムのゲーム、英雄伝説6のサブタイトルですね。
ライトノベルがお好きな方、分厚い本がお好きな方、奈須きのこさんのファンの方、におすすめです。