誰にも認められなくても、どこかでだれかが見ていてくれるよ。
短編集です。
各短編に阪神大震災がちらちらと出てきます。
直接的な被害を受けた人、間接的な被害を受けた人。
短編同士の関与は特にないのですが、阪神大震災にはたくさんの人の人生が関わっていた、という事を考えさせてくれました。
表題作は宗教的な事もあってちょっとアレだったのですが、「かえるくん、東京を救う」と「蜂蜜パイ」が気になりました。
「かえるくん〜」ではかえるくんなるかえる(人の大きさで)が突然現れ、「東京を地震から救う手助けをしてほしい」と頼む。
片桐さんなる気の弱い男性にそういうわけなのですが、それが何故彼なのか、というのもテーマの一つで。
かえるくんと片桐さんの友情というか変わった絆のようなものに、ちょっと良いなぁ、と思ったのでした。
「蜂蜜パイ」は素直に良いお話でした。
童話的なものが多いこの短編集において(いや、この作者の傾向でもありますが)、ストーリ性もあって僕好みのお話でした。
ハッピーエンドで安心して読むことができました。
身近な所にあるものへも、第一歩を踏み出さないと近づけない、そんな感想です。
阪神大震災に関わりがあった方、童話がお好きな方、村上春樹さんのファンの方、におすすめです。