やっぱり、不器用は罪なのだ。
この本が出てしばらく、「史上最年少17歳で文藝賞受賞」とか騒がれているのを聞いていて気になっていたのですが、なかなか手が出ませんでした。
ちょっと前に、別の本で再び賞を取ったということで、話題になってましたね。
まぁ、話題になるのは結構ですが、話題先行というのは、ちょっと寂しいモノですね。
…というのも、この作品、悪くはないのです。面白くないってわけでもないのです。
しかし、賞を取るほどの作品か、と聞かれると、ちょっと「???」と思ってしまうのです。
まぁ、僕の目が節穴なんでしょうけれども。
現に、大抵の人気作家の処女作っていうのは、「?」と思うものが多く。
審査員の先生方の慧眼には驚かされるばかりであります(フォローになってるような、なってないような)
正直な話、薄い内容でありました。サクサクと読めるのは良いのですが。
あらすじは、
主人公は平凡な女子高生で、ある日登校拒否になり、ひょんな事で出会った同じマンションの小学生の子供と、風俗チャットのアルバイトをします。
風俗チャットでも変な客と絡んだりいろいろありますが、バイトは終了し、結局「何も変わらなかった」とまた学校に通い始める。
…という感じです。
主人公には何かこれといった願望があるわけではなく、それを探すための冒険をするというわけでもなく。
(まぁ、ある意味風俗チャットという冒険をしますが)
無気力に過ごしているうちに、突然それまでの日常を一度全部壊してみようと思い立ちます。
しかし、日常を見つめ直した時に「やっぱり同じだった」という結末です。
全体的に「冷めた」イメージを強く感じた本でした。
まぁ、この日常を見つめる課程などは読みどころであるのでしょうが、あまりに現実でよくある事で(いや、そりゃ現実とはちょっとは違いますが)こういう所はちょっと、という感じでした。
あいにく現在女子高生という知り合いなどはいないので解りませんが、今時の女子高生ってこんなに冷めているものなのでしょうか。
ちなみにこの作品。
とある女性の方が「これは作者が可愛いから特に売れた。女子高生というブランドもある!」と憤慨なさっていました。
…うーん。まぁ、どうでしょうね?
たしかにまぁ、可愛いという事でよく話題になってました。この本の表紙裏の著者写真もよく撮れてます。
言うまでもなく、作家って作品で売るものであって、容姿で売るものじゃないような…。
僕は割と作品と作者を別に考えるので大丈夫ですが、冒頭の話題だとかで、人気がちょっと一人歩きしている感はありますね。
とりあえず、彼女の今後に期待という所でしょうか。
自分にインストールの必要がある方、チャットをよくする方、話題の綿矢さんの本を試しに読んでみたい方、おすすめです。