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□ 著書名        【異聞・新撰組】
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□ ジャンル       歴史小説
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□ 著者            童門冬二
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□ 出版社         朝日新聞社   価格1500円 (税別)
                     ISBN 4-02-257883-1   2003.11.30 307ページ
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武士になって、日本を変えてやる!

播磨の商人出身の河井伊三郎の目を通して描かれた新選組のお話。
彼は商人出身ということで算術に長け、勘定役として頭角を現して、副長の土方歳三も一目置く存在となります。
また彼は農民や農民など、出自を問わず入隊できる新選組に「日本を変える」ための理想集団を夢見ていました。

さてこの伊三郎、言うまでもなく「河合耆三郎」がモデルで、細部はいろいろ違うところはありますが、結局は史実どおりの結末を迎えます。
史実の河合氏も、播磨国高砂の蔵元(米問屋)・河合儀平の長男として生まれ、浪士組に入隊しています。
商家の出身ということで、経理の才があり、新選組の勘定係を任されたが、隊の会計の不正の責任を負って、切腹させられます。
この河合の死のエピソードについて。
ある日河合は隊の軍資金が50両不足していることに気付き、密かに実家に飛脚を立て送金を頼みます。
近藤の留守を預かる土方に露見しては大変なことになります。
しかし、間の悪いことに土方はまとまった金がいると言い出し、隊費不足が露見し謹慎となります。
(近藤の妾、深雪太夫身請けのための用立てであったという説もあるそうです)
「士道に背く」という法度に反した為、本来なら直ちに切腹となるところですが、河合本人の懇願もあり、実家からの飛脚の到着を10日待つことになります。
3日もあれば届くはずの飛脚。実家では河合の父が外出中で、飛脚の持ってきた手紙の確認が遅れていました。
約束の10日が過ぎ、河合は切腹となります。河合は死の直前まで、飛脚の到着はまだかと尋ねたそうです。
河合の死を知った遺族は屯所に来て騒ぎ立てたり、屯所の前を練り歩いたりと、新選組への嫌がらせを繰り返した、とか。

NHKの大河ドラマ「新選組!」でも、このあたりのエピソードは出ていました。
(いろいろあって武田観流斎が隊費を使い込んでいたり、介錯するのは谷(長男)だったりしてましたが)
そのNHKの大河ドラマをずっと見ていた僕としては、近藤以下新撰組のキャラクタが全員大河の俳優さんで話している想像になってしまいました。
今後ずっとこうなるかもしれません。
今日ようやく見た年末にやってた総集編では河合のエピソードが全部省かれていたりして、かなり寂しかったです。
 

大河ドラマ「新選組!」を見ていた方、歴史小説がお好きな方、におすすめです。
 

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Copyright(C) Nobuhiko Takano 2004