===========================================================
□ 著書名         【蛇を踏む】
-----------------------------------------------------------
□ ジャンル        うそばなし
-----------------------------------------------------------
□ 著者            川上 弘美
-----------------------------------------------------------
□ 出版社      文芸春秋   1999.8.10初版   183ページ
            ISBN4-16-763101-6   390円(税別)
===========================================================

あなた何ですか。

川上弘美さんの短編集です。
まず最初にお断りを入れておきますが、この本、ぼーっと読んでると、全く訳が分かりません。
かといって、真剣に読んだからと言って本意が伝わるものではないかもしれません。
ちなみに僕は通して3度ばかり読んでみたのですが、実のところ、どう解釈してよいのか、と思う部分が箇所が数カ所あります。
「うそばなし」ですし、深く考えてはいけないのかもしれません。

薮で踏んだ蛇が女になってやってくる「蛇を踏む」、「消える家族」と「縮む家族」がでてくるお話の「消える」。
そしてなんとも不思議な世界のお話の「惜夜記(あたらよき)」の3編が収められています。

「蛇を踏む」では蛇を踏んでしまった女性が、人間の女に変化した蛇につきまとわれて、蛇の国に来ないかと誘われるストーリーです。
蛇が「仕方ありません」だなんて言って人間に変化してやってくるわけですが。
「困りますから帰ってください」とかって言えばいいのに、主人公の女性はだらだらと蛇が化けた女性と一緒に暮らしていきます。
この変な関係には、人間の孤独や不安が描かれています。

「消える」では「消える家族」と「縮む家族」が縁組みを行うわけですが、うまくいかず、といった具合で。
実際へんな家族の話は一旦おいておいて、現実問題でも結婚というものは家族間であったりあわなかったり、いろいろな事があるかと思います。
他家での常識が、必ずしも自分および自分の家での常識ではありませんし。
うまくいかないことがいったい何なのか、などということを考えさせられました。

「惜夜記」交互に描かれる不思議なお話です。
何となく夏目漱石の「夢十夜」を彷彿をしてしまいますが…。
3編の中で一番異質な感じのお話でした。

ところで、過去に僕も蛇を踏んだことがあります。
実家の脇の道を歩いていた時で、何も思わず踏み出した先に、横合いからにょろっと出てきた蛇さんを踏みつけてしまった訳で。
そんなに強く踏んだわけではありませんが、蛇も僕もびっくりしてしまい、蛇は横合いに逃げ込み、僕は飛びすさり。
とりあえずその後人に化けて家にでてくる、という事はありませんでした。
 

蛇を踏んだことがある方、うそばなしが好きな方、川上弘美さんが好きな方に、おすすめです。
 

(「本のお話」に戻る)

(トップページに戻る)


Copyright(C) Nobuhiko Takano 2005