所有ってのは、案外厄介なものだ。
芥川賞受賞で話題になっていた作品です。
タイトルの「蛇」とは、スプリットタン(先端が裂けた舌)のことを指します。
舌にピアスをして、その穴をどんどん拡張していって、残った先端部分を釣り糸などで縛り、最後にそこをメスなどで切り離す、という事をして作る(?)そうです。
こうしてスプリットタンを完成させる…というのはなかなか衝撃的でした。
そもそも耳のピアスの穴すら痛そうで怖くて開けてない自分にとってはなんとも恐ろしい話で、想像しただけでぞっとしてしまいます。
(昔は耳にピアスをしてみたい、と思った事がありましたが)
このスプリットタン、「身体改造」とかって表現されてましたが、耳のピアスならともかく、身体改造にもほどがあるような気がします。
ヒロインのルイは、クラブで会った男・アマの二つに裂けた細い舌に魅せられ、あやしげな店で自分の舌にピアスを打ち込んでもらいます。
お互いの名も知らずにアマと暮らすようになるのですが、そのうち事件にまきこまれ…という具合でお話は進みます。
お話はまぁ、程よく進んでいくのですが、最後のあたりで「犯人は誰だ」的なミステリ(…と表現してはいけないでしょうか)要素も出てきます。
まぁ解りきった犯人であるわけで、ミステリとは呼べないかもしれませんが、突然話が転調したようで、ちょっとびっくりしました。
話が突然収束(?)しだして、ちょっと突然という感じはしましたが、テンポ良く最後まで進みます。
これは読み終わってから「突然収束しだした」なんぞと思うのですが、読んでいる最中はあまり気になりませんでした。
話の流れは良かったと思います。
ルイは舌のピアスと同時に、背中に麒麟(キリン)と龍の刺青も刻みはじめます。
刺青ってこれまた痛いそうで、スプリットタンに合わせて、読んでいるだけで怖くなりました。
あと、個人的にはSでもMでもなくノーマルなつもりなので、そういった性的嗜好についてもちょっと眉をひそめてしまいました。
そういえば、「神に」関する物言いが多かった気がします。
まぁ、個人的にはカミサマなんてのはどこにもいないとは思いますが。
この本は話題になって、沢山の方が読まれたと思いますが、この本を読んだ人はどう思ったのでしょう。
ピアスをつけている方、アウトローな生活をしている(もしくはしていた、または憧れる)方、話題の金原ひとみさんの本を読んでみたい方、おすすめです。