お誕生日、おめでとう。
よくも悪くも「新井素子らしい作品」という感じの本です。
例によって一人称の文体です。
若干少女趣味な文体とともに、このあたりが原因で苦手という方もいらっしゃいますが、なんとか読んで頂きたいものです。
現実的でなく、主体性が無く、夫べったりな女性が主人公です。
読んでいるうちに、主人公「あきら」の「ふふふっ」っていう笑い声が耳元で聞こえるような気がして、怖くてドキドキしました。
所々怖いフォントになってるし…。
しかしまぁ、女性で名前が「あきら」というのはたしかにちょっと、と思います。ちょうど知り合いで男性で「あきら」さんがいるので、余計そう感じました。
かくいう僕も自分の名前にはいろいろ思うところあるのですが…。
こうして思えば、名前についてあれこれ考えているのは自分だけなのかもしれませんね。
他人からみたらそれほど、という事もあるかもしれません。
ちなみに、この本でも新井素子本人が主人公とだぶってしまいました。
あとがきで「これは著者の事ではありません」だなんて書いてありますが、どうしてもそうは思えません。
だとしても、言い訳じみているというより、えらく自虐的な内容であるような気がしますが。
こんなインタビューがありました。
さすがはと言いますか、なんと言いますか…。
ところでこの本、カバーと表紙が凝っていて、綺麗な装丁になっています。なかなか良いなぁ、と思いました。
「いい気になるなよ」と思う人が周囲にいる人、大好きな人がいる人、新井素子さんのファンの方、におすすめです。