でも、ルーツは国籍に縛られない。
「在日」と呼ばれる人の戦いのお話です。
国籍問題という重いテーマを扱いながらも、とっても軽快にお話は進み、読後感もすっきりしています。
差別はよくない、とか言いつつ、そこかしこで差別しまくりの世の中であります。
僕の中にも無自覚のうちに差別の気持ちはあるかもしれません。
ところで、朝鮮という国。
南と北に別れていて、北はなにやら物騒で、南は日本と身近になりつつあります。
しかしながら、僕は「朝鮮をよく思わない世代」に育てられた背景が関係しているのか、朝鮮という国にはあまり良い感情を抱いていません。
昨今の情勢を見ていても、言わなきゃいいことを公式な場所で言ってみたり、やらなきゃいいことをついやってみたりしてしまうという、ツッコミどころ満載の国であるのは間違いありません(まぁこう感じるのも「一部のメディア」が盛り上げてるだけかもしれませんが)
結果としては、国としての成熟度はあまり高くないと判断せざるを得ません。
そんな朝鮮。
細君が勤める会社の関連工場が韓国に建設されるということもあり、彼女が数度あちらに行ったこともあり、我が家的には身近な国であります。
僕自身も一度韓国に行ってみましたし、細君の会社に来ていた韓国の方々とお話してみたことがあります。
話してみたらごくごくフツーの人が多いのですよね。
何事も否定的に考えてしまう僕らこそ、すっかりメディアに扇動されてしまっているのかもしれません。
ついでに外国から来られる人に関して。
在日朝鮮・韓国人なんてくくりが存在しますが、不思議なことに欧米人への「差別」はあまり見聞きしません。
ここらあたりは納得のいかないところでしょうね。今更ながら気付いた僕もなんかおかしいと思います。
そもそも、「在日」という定義自体からして差別のスタートのようです。
このお話の主人公、杉原は国籍の定義に疑問を覚え、「単一民族の起源」について調べます。
背景はちょっとアレですが、「ノルウェー人になってやる!」なんても言ってましたが、このくらいでもいいのかもしれませんね。
杉原は、ある時出会った女の子を好きになるのですが、杉原の出自を知ったその子の家族が「いかにも」な対応をしたりします。
そりゃ全然ダメな判断なんですが、そういう人が実在するのは事実です。
主人公の杉原もアツくてなかなか魅力的なのですが、そのオヤジさんが素敵です。
警察にしょっぴかれそうになった彼を助け出す(?)手法にはあきれてしまいました。
また、「今日からおれのことをヨーダと呼んでいいぞ、ルーク。」などと言い出すセンス。ちょうどスターウォーズを見ていたもので笑ってしまいました。
父と息子の影であんまし目立ってませんが、母も良いキャラクタです。なんだかこの家族はいいなぁ、なんて思いました。
それにしても、自分がどこの国の何者なのか、ということを考えたことがある日本人はどのぐらいいるのでしょうか。
日本人として日本にいる限り、普段は全然考えなくても済むことなんですよね。
さて、僕はどこの国の人なのでしょうか。
ところでこのお話、映画化されてましたね。主人公はちょっと前に何かと話題になった人ですね。
いつか見てみようかな、と思ってます。
外国人が身近におられる方、外国人と暮らしてみたい方、金城 一紀さんのファンの方に、おすすめです。