かつてヤングマガジンで連載されていた漫画です。
連載されていた時も雑誌で読んでいたのですが、話の進みが遅くていらいらさせられました。
そこで、単行本になってから一気に読んでみたのですが、けっこういい感じでした。
ちょっと絵柄が個性的ではありますが、読んでいるうちに大丈夫になりました。
さて、「少年世紀末ストーリー」という銘がつけられたこのお話。
崩壊してしまった日本が舞台です。
修学旅行帰りの中学生たちが乗った新幹線を、突然、原因不明の異変が襲う。
新幹線はトンネルの中で転覆、生き残ったテルとアコは、トンネルを脱出するが、暗雲と灰によって覆われた空。
目の前には変わり果てた世界が広がる…。
…と言った具合でこのお話が始まります。
沢山の人が死に、文明なんてものは崩れ去り、誰も頼りにならない状態。
ホントにこんな出来事が起きたりしたらイヤだな、と思ってしまいます。
お話のなかで、「恐怖」について語られていますが、たしかになんとも捕らえがたい感情です。
話の中にあるように、たしかに平穏無事な生活を毎日送っているからこそ、恐怖という感情に鈍感になっているのかもしれません。
たしかに、そうそう直面しないだけに、死にも生にも敏感ではない、というのはあると思います。
思えば、まさしく極限状況とも言えるこういった状況に出くわすことはそうそうないでしょうし…。
(いや、こういった考え方こそがダメなのかもしれませんが)
サバイバルなところに向かない自分だったらこんな環境になったらあっさり息絶えそうです。
かつてそんな話をあるお友達にしてみたら、「いや、意外としぶとく生き残ってそう」だなどと言われましたが。
このお話、一つ一つの場面描写が細かな割には、最後まで物語で広げられた「謎」が沢山残ってしまい、ちょっと消化不良な気がしてしまいました。
物語の全貌が見えないまま終わってしまったような感があります。
しかし、このお話においては、謎解きなんてナンセンスなのかもしれません。
ストーリを楽しむというより、このリアルさと緊迫感とインパクトを楽しむ漫画のような気がします。
刺激的な漫画を読んでみたい方、終末ものが好きな方におすすめです。