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□ 著書名         【キャッチャー・イン・ザ・ライ 】
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□ ジャンル        洋書翻訳本
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□ 著者             J・D・サリンジャー著 村上春樹訳
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□ 出版社      白水社    2003.4.20初版   354ページ
           ISBN4-560-04764-2    1680円 (税込み)
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すごくやるせない気持ちになって、このまますっと死んでしまいたいと思った。

この本、しっかりと読むのは初めてです。
実は、前にも手に取ったことがあるのですが、何とも読み難くて、挫折してしまったという過去があります。
…というのも、文字を追っていても、当時はちっとも面白いと思わなかったのです。
洋書翻訳本はやっぱり苦手かなぁ、と思ってしまうのでした。
今回はめげずに最後まで読み切った訳ですが、翻訳本は訳者の力量によって違うモノになるのかなぁ、と思った次第です。
思ったよりさくさくと読めました。
かつてこの本を手に取ろうとしたのは高校の時でしたが、かつての自分が読むのに挫折した理由がなんとなくわかりました。
洋書が苦手、だなんて壁を自分に作ったのはその頃でしたが、冗長な日本語表現に慣れて、それを好むようになったら、それ以外が受け入れがたく、変なものになって映ったりするのだと思います。

お話のほうは、なんともいい加減な主人公、ホールデンの独白です。
独白というか、ホールデンの愚痴に付き合わされます。
「僕」という一人称で、あることないこと(時々事実もありますが)話しまくります。
やはり、大げさで、自己中な語りが多く、今回も挫折しそうになりつつも、頑張って読み続けました。
成績が悪く高校を退学させられているような人なんですが、話す内容は妙に含蓄深かったり、不思議な人です。
妹思いのところもあったり、時折突然常識人になったり、まったく妙な人物です。
僕は最後まで彼の理解できる範囲にない人でした。とりあえず、身近なところにこんな人がいなくて良かった、などと思いました。
しかし、読み終わってからなんとなくホールデンの年頃だったら、とかいろいろ考えてみるのでした。
少なくとも自分の子供時代と全然考え方も違うだろうけど、こういう考え方はあったかなぁ、なんて事を思ってみたりもしました。

最後に「本書には訳者の解説が加えられる予定でしたが、原著者の要請により、また契約の条項に基づき、それが不可能になりました。残念ですが、ご理解いただければ幸甚です。」との断りがありました。
どんな契約条項だったのか、元著者がどんな望みをしたのかわかりませんが、密かに解説を期待していたので、ちょっとがっかりでした。
 
 

洋書がお好きな方、いい加減な人生を歩んだ事がある方、村上春樹さんのファンの方におすすめです。
 

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Copyright(C) Nobuhiko Takano 2004