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□ 著書名         【ブルヴァール】
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□ ジャンル        クルマ漫画
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□ 著者             日生かおる
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□ 出版社      少年画報社 1996/04/15初版 (第一巻)
            ISBN4-7859-1516-1  485円
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「ヤングキングOURs」なる雑誌で連載していた作品です。
僕がまだ本屋さんでバイトをしていた時に偶然手に取って以来、買い続けていた漫画です。
(なかなか新刊が出なくてやきもきしてましたが…)
そのころは全くと言ってクルマに興味がなかったのですが、中をパラパラっと初めて見た時、ちょっとした衝撃を受けました。

…というのも、クルマの漫画なのに、少女漫画を彷彿とするような絵と優しくて柔らかいストーリーで構成されており、なんか購読層が違う雑誌に連載された方がよいのではないか、などとよけいな心配をしてしまうような漫画だったからです。
その頃、クルマが出てくるマンガと言うと、なんか暑苦しい主人公が出てきてゴチャゴチャとクルマの事について五月蠅く解説してくる、みたいな変な先入観があったんですが、この作品はむしろその対極に位置するような、すごく爽やかなお話しです。
クルマとドライバーが自然な感じで生き生きと書かれているのが印象的でした。

内容ですが、俗に言う眼鏡っ娘でリボンがトレードマーク(?)の、藤原雪乃という女の子が主人公です。
(別の漫画でも「藤原」という姓の人が出てくるのありますよね。あれはとうふ屋さんですが、偶然でしょうか?)
そういえば今まで数あるクルマ漫画の中で眼鏡をかけた主人公というのは見かけなかったと思うのですが、そう言う意味ではちょっと斬新かな、と。
ちなみにその雪乃が乗るクルマというのがトヨタ・MR2。
(これまた別の漫画でAW11のMR2が出てくる漫画がありますね。これも偶然でしょうか?)
もとはバイクに乗っていた雪乃がバイクで事故ってしまい、親の反対にあって二輪から四輪に乗り換える事になって選んだのがMR2だ、という話なのです。
余談ですが、雪乃が乗るMR2はSW20の中でも1型と呼ばれる初期型でグレードはG−リミテッドです。

さて、ここらで言っておかないといけないのですが、たしかにこの漫画、SW20のMR2が出てきたり、登場車種も俗に言う「走り屋」っぽいのが多いのですが、この漫画においてはクルマはホントに脇役になります。
「くわっ!」とかって勢いでコーナーを睨み付けた主人公が派手なスキール音と共にドリフト、だとかそんなシーンは皆無です。
車同士で鬼ごっこする「バトル」だなんてのもありません。
絵のほうも、集中線などの効果線がバリバリ入って全体的に暗い背景になっていたり、とかしていせんし、(これらはこれで、夜の話だと効果的なのかな、とか思っています)クルマのアップが多かったり走行音やらブレーキらしき擬音とかでコマが見にくかったり、というのもありません。
ほんとに見やすくて好感のもてる絵柄です。

しかしながら内容もやや女性向けな気がしますので、少女漫画的なタッチが苦手な方には向かない作品だと思われます。
けっして万人受けするとは言い難いかもしれませんが、僕はいい作品だと思います。

話の構成はほぼ1話完結のもので、それぞれのエピソードでの話になり、一貫して続くストーリー性はあまりありません。
人間模様と言いますか、主人公・雪乃と、晴子、小夜子、麻生、刈谷といった周りの人たち、そしてMR2こと「パトリックさん」のやりとりを眺めて読み進めていけます。
そういえば、この漫画では雪乃が乗るMR2に「パトリック」と名前が付けられています。
そのパトリックとの会話もいわゆる擬人化って奴なのですが、これも好みの分かれるところではないでしょうか?
個人的には好きですが。

そういえばこの作者、連載が始まってから雪乃が乗るのと同じ車を購入したそうです。
絵を描くということにあたって、身近に「実物」の見本があると漫画に反映させるのが楽だろうな〜なんて事を思ってしまいました。
パースなどもとりやすくなると思いますし…。
あとちょっとマニアックな話ですが、この作品の端々にスクリーントーンで必ずハニワを模したものが出てきます。
僕は画材店など実物を見かけたことがないのですが、何か特殊なものなんでしょうか?
 

クルマが好きな人はもちろん、逆にクルマが出てくるマンガに抵抗がある人にもおススメです。
 
 

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Copyright(C) Nobuhiko Takano 2003