生き残るためには戦う
軍事サスペンスです。
もちろん架空のお話なのですが、すごくリアルなお話です。
僕は文庫で読んでいたのですが、上巻と下巻を手に取ってみたら、ページ数とその内容の濃さに圧倒されそうになりました。
エンターテイメント性が高く、分厚い本にもかかわらず、読んでいて飽きさせません。
あとで知ったことですが、このお話は、日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞、大藪春彦賞のトリプル受賞だったそうです。
普通の自衛隊員の仙石。(自衛隊員が普通かどうか、という問題はおいといて)
どちらかというと普通のおじさんだった彼なのですが、話がすすむにつれて、彼が俄然かっこよくなっていきます。
また、極めて漫画、アニメ的な存在のような気がする如月行。
特殊技術を駆使し、活躍します。不器用で無骨で、でもに純粋な心を持っている、キャラクタです。
ストーリー上、悪いことをたくらむ連中がいるのですが、単純に善人と悪人、と割り振ってありません。
あれこれ語ってくれるヨンファに趣深いものを感じ、僕はなんとなく彼の気持ちが解るような気がしました。
ほかにも沢山の登場人物が出てきますが、一人一人がものすごく生き生きとしていて、個性があります。
このお話に出てくる海上自衛隊の自衛艦「いそかぜ」。
通常の護衛艦だったものを改装し、12目標を同時に捕捉可能なイージス艦になった、という設定です。
他にも専門用語もたくさん出てきますが、適度に解説が盛り込まれていて、あまり気にしなくても読み進める事ができます。
(反面、兵器系がお好きな方は、とても楽しめることでしょう。)
福井晴敏さんのサイトのとあるコーナーで、行がおもしろい事を話して(著者によって話させられて?)いたりして、ちょっと面白いです。
パロディ的なものを嫌う人にはダメかもしれませんが…。
ところでこのお話、読んでいるときから映画向きだなぁ、と思っていたのですが、映画化決定のようです。
是非、映画館に足を運ぼうと思っています。
護衛艦に興味のある方、生き甲斐がある方、もしくはない方、福井晴敏さんのファンの方、におすすめです。