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□ 著書名         【ぼくの小鳥ちゃん】
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□ ジャンル        童話
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□ 著者            江國 香織
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□ 出版社       新潮文庫    2001.12.01初版   136ページ
            ISBN4-10-133918-X   476円(税別)
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あたしはあなたの小鳥ちゃんよね?

ある雪の日に「ぼく」の家にいきなりやってきた、わがままだけど可愛い小鳥のお話。
絵本といいますか、児童文学っぽい作品です。

「ぼく」に「小鳥ちゃん」と呼ばれるこの小鳥、鳥なのに人間のように喋ります。
ラム酒をかけたアイスクリームが好きだったり、「ん」がついても終わらない「ずっと続くしりとり」が好きだったり、スケートに挑戦したい、と言ったり。
おしゃまというか、生意気というか、微妙な感じなのですが、すごく可愛いキャラクターです。

ちなみに、「ぼく」にはガールフレンドがいるのですが、小鳥ちゃんとは微妙なスタンスです。
(ガールフレンドがまったく気にしてないようなので、三角関係とまではいわないでしょうけど)
小鳥ちゃんは「ぼく」には喋るのに、ガールフレンドには喋らず、普通の鳥として振る舞っています。

このお話に出てくる登場人物、小鳥ちゃんや、「ぼく」や、ガールフレンド。 なんとも良い人(鳥もいますが)ばかりです。
とりたてて事件もなく、物語は優しく過ぎていくのですが、なんだか寂しい読後感です。
しかし、けっして後味の悪いものではなく。
このあたりの味が、このお話が一般の児童文学とは一線を画すものだと思う時です。

このお話、荒井良二さんが挿絵を描いておられます。
荒井さんはいろいろな絵本の絵を描いておられるのですが、このお話の舞台にもぴったりな挿絵でした。
綺麗な挿絵も、この本の魅力です。

ちょっと話は逸れますが、僕はかつてセキセイインコを飼っていた事があります。
残念ながらこのお話に出てくる小鳥ちゃんのように可愛げのあるものではなく、ことある毎に脱走を計り、逃げ出したのを捕まえると、飼い主の僕にくちばしで思いっきり噛みつき、…といった具合で、あまりなついてくれませんでした。
時間の経過と共に、どうやら僕の事は敵ではないという程度の認識をしてくれるようにはなりましたが、手乗りなどはしてもらえませんでした。
ちなみに二羽飼っていたのですが、一羽はもう一羽とのケンカの末、ケガが原因で死んでしまいました。
もう一羽はセキセイインコにしてはかなりの長い期間を生きてくれました。
このインコが死んで以来、別れが寂しいので動物は飼わないようにしているのですが、このお話を読んでいたら、あんな小鳥ちゃんがウチにもきてくれないだろうか、と思いました。
 

オトナ向け童話が読みたい方、鳥が好きな方、鳥を飼ったことがある方に、おすすめです。
 

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Copyright(C) Nobuhiko Takano 2002