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□ 著書名         【BASARA】(全27巻)
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□ ジャンル        少女漫画
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□ 著者             田村由美
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□ 出版社      小学館フラワーコミックス 1991.3初版 (第一巻)
            ISBN4-09-133621-3 379円 (税抜)
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文明が滅び、300年が経過した日本の白虎の村に戦う宿命を背負った少女・更紗が生まれた…!!

これは別冊少女コミックで連載していた少女漫画ですが、男性が読んでも違和感のない話です。
ある方の勧めで、連載当時から読んでいました。

壮大なスケールで描かれた話です。
少女漫画というカテゴリーで、こういう作品があるというのは、ちょっと驚きました。
読みすすめていくと、なんとなく贖罪という言葉を思い出しました。
この話に持たされたテーマは、重いながらも良いものだと思います。

まずはストーリーは…

20世紀末に文明が滅び、その数百年後の未来の日本が舞台です。
この時代では人々は暴君が支配する圧政に苦しんでいます。
主人公は時代を変える「運命の子供」として予言者に予言され、生まれた双子の妹(更紗)です。
ちなみに最初は兄の方のタタラが「運命の子供」と言われていたのですが、あっさり彼は討ち取られてしまいます。
とっさに更紗は人々の希望をつなぐため、自らを「タタラ」として王に立ち向かうため立ち上がります。
一方その白虎の村を襲ってタタラを討ち取ったのが赤の王、朱理。
当然タタラ達から見たら王族であり、敵になるわけですが、更紗と朱理は知らずに出会って、恋に落ちてしまいます。

…とまぁ、基本はこの手のジャンルにありがちな「敵同士の禁じられた恋」っていう話です。

このお話でも「互いの正体を知らないまま出会い、お互いにひかれ始める」っていうのはお互いにとっては幸運とも不幸ともいえる事です。
しかし、このお話はそういった所もふまえて綺麗に進んでいきます。
たくさんの魅力的な登場人物たちが出てきますが、それぞれのキャラクターのエピソードも更紗と朱理の関係以上に描ききってあります。
きっちり「人物」が描かれているというのも、この物語での魅力でもあります。

このお話、長いながらも全体の構成がよく練られており、読み手を飽きさせません。
そういった所は漫画の画力など以上に評価できるところだと思います。
ところで、物語のエピソードだとかキャラクターのセリフの節々で歴史の時間で聞いたような事がいっぱいでてきます。
日本史などが好きな方は、ニヤリとするところがあるかもしれません。

触れてはいけないとは思いますが、ラストについて。
賛否両論だと思いますが、個人的にはこれで良いと思います。
いろんなケースが考えられたかと思いますが、少女漫画的ではありますがこのお仕舞いには僕は賛成です。

あと登場人物について。
更紗と朱理はもちろんのこと、揚羽など魅力的な脇役達も沢山出てくるので楽しめましたが、その中で浅葱とナギが気になりました。
浅葱は更紗たち以上に成長していく姿が気になりました。
最初の印象は悪かったのですが、彼自身割と健気なところもありますし、終わってみたらけっこうイイ奴だったのかな、と思えたり。
ちょっと可哀想なところもありますが、なんとなく自業自得な面もありますね。
でも、人間というのはなかなか素直になれないということなのかな?と思ってみたり。
一方、ナギはちょくちょく出てきて物語のキーになることを言っていましたが、気になったのは出生の事。
ズバリ、「この人こそ、国王の子ではないのか?」という疑問です。
話のなかで明確にかかれているわけではないのですが、それと思わせられるフシが何個もあります。
これは、考えすぎでしょうか。
 

歴史ものが好きな方、長いお話が好きな人、田村由美さんのファンの方におすすめです。
 

参考リンク : 田村由美オフィシャルページ
 

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Copyright(C) Nobuhiko Takano 2004