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□ 著書名         【100万回生きたねこ】
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□ ジャンル        絵本
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□ 著者             佐野 洋子
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□ 出版社      講談社    1977.10.20初版   31ページ
              ISBN4-06-127274-8 C8771   1300円(税別)
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100万回生まれ変わってきたねこは、今までいろいろな人に飼われ、大切にされ、そして死んできた。
しかし、ねこはちっとも幸せではなかった。

たぶん誰でも小さい頃に一度は読んだことがあるであろう絵本です。
題名にならって(というわけではないでしょうが)100万部も突破しているというベストセラーの絵本です。

どういう仕組みか解りませんが、何度死んでも死んでも生き返る、とらねこの話。
曰く、100万回も生きて死んだ、と。
いろんな飼い主に飼われ、事故、老衰、いろいろな最期を遂げます。
100万人の人がそのねこをかわいがり、100万人の人がそのねこが死んだとき泣きましたが、ねこは一度も泣きません。
次に生まれてきた時、初めて飼い猫としてではなく、のらねことして世に生を受け、素敵な白いねこと出逢い、本当に大切なものを知った、というお話です。

この作品は子供向けの絵本なのですが、現代の世に生きる大人向けだと思います。
心が荒んだ人の多い、まさに現代にこそ読まれるべく作品のような気がしてなりません。
未来というものは闇に隠れて見えませんが、必ずしも暗いことばかりでないような、そんな気持ちになれる本です。
しかし、皮肉なことに人間の場合、このねこと違って生きる時間が長いわけで、長くなればなるほど「大切な人」が増えていくような気がしますが。

この本を読んで、輪廻転生や前世について考えてしまいます。 もしくは「縁」というもの。
ホントのところはどうだか知りませんが、僕はこういったものが存在すると思います。
現在、友達だったり、家族だったり、などという人間関係には、何かそういうものが関係している、とも思うのです。
生きていると、何らかにおいて幸不幸があるかもしれませんが、これは実はすべて帳尻がとれているものなのかもしれない、と思うのです。
つまり、現世で良いことがあったら、前世で悪いことがあった、とかそういった具合で。

余談ですが、この本はお友達が誕生日のプレゼントに贈ってくれた品です。 このお話にでてくる猫が僕っぽい、という話で。
・・・たしかにそうかもしれません。
その時がくることは考えたくもありませんが、僕も「大切な人」を失った時、泣くのでしょうね。
しかし、僕はこのねこと違って、まだ生き返ってその「大切な人」とまた違う人生を歩む事を希望します。
生まれ変わっても好きな人と近いところで生きていたい、と思います。
 

好きな人がいる方、今の生活がちっとも幸せではない方、子供の頃にこの絵本を読んだことがある方、におすすめです。
 

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Copyright(C) Nobuhiko Takano 2002